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あいまいな日本的表現を中国語で表すための方法
中国人はアメリカ人と同様、Yes/No をはっきり言う習慣がある国の人となりますが、私たち日本人はそうではありません。
微妙な言い回しがたくさんあって、さらには「察っすれよ」とか「空気を読みなよ」とかいう言葉があるように、非常にあいまいな中にある雰囲気を持たせたような表現がたくさんあり、それに慣れています。
中国に行っていろいろな人と話すようになったときに、ふとこのようなあいまいな表現は、どう言ったら良いのかとしきりに考えたことがありました。
ここでは、そのような表現のいくつかを、ご紹介させていただきます。
(参考になるかどうか、わかりませんが・・)
(1)なんて言うかなあ‥‥
相手に質問をされて返答をしなければいけないときで、なかなかいい言葉が思いつかないとき。あるいはすぐに答えにくいようなときに使う言い方です。
こんなシチュエーションのときに中国語では・・、
怎么说呢‥‥
zěnme shuō ne
と言って、頭を右斜め上あたりを見上げながら、考えるふりをする‥というのが(1)とぴったりのイメージになります。
(2)~なのは‥ですが、でも…
ほんとうは「いや、違いますよ!」と言いたいのですが、相手の立場や相手との関係を考えると、ストレートに否定しにくいようなときに使う言い方です。
いったん肯定するような素振りをして、やんわりと否定をするという、実に日本的で高度な話法‥‥かな。
このようなシチュエーションでの中国語ですが・・、
・・この項は、具体例を上げないと説明しにくいので、わかり易い例を使って説明します。
例えば、親しい友人がおいしい料理があるといって案内してくれて、一緒にその料理を食べたときに、その友人が‥、
好吃吗?
hǎochī ma
おいしいでしょう?
と聞いてきたとします。少し押し付け気味に・・。
すぐに、
不好吃!
bùhǎochī
まずいですよ!
とは言えないときに、苦しまぎれに答える返答・・。
好吃是好吃,不过…
hǎochī shì hǎochī , bùguò …
おいしいことはおいしいのですが、でも…
という言い方がぴったりです。
これを文型にすると「(形容詞A) 是 (形容詞A)、不过…」となります。
この表現が使いやすいのは、(形容詞A)に入る単語が相手の話した言葉のなかにすでに存在しているからです。
上の例なら。相手の言葉「好吃吗?」の「好吃」(この場合は「形容詞十動詞」になっています)をそのまま借用すればいいということですね。
別の例も挙げると、次のようなものがあります。
好是好,不过…
hǎo shì hào, bùguò
いいのはいいんだけど、でも…
忙是忙,不过…
máng shì máng , bùguò …
忙しいのは忙しいんだけど、でも・…
(3)そうはおっしゃいますが…
これも(2)に似た言い方です。
相手の提案や要求を受け入れにくいときに使います。
中国語で言うと‥、
说是那么说,…
shuo shi name shuo, …
そうは言うけど、…
と言って沈黙してしまう‥‥というやり方がこれに当たります。
また、この表現は、相手が自分の意見を言ったあとこちらに、
你呢?
nǐ ne
あなたは?
と意見を求めてきたときにも使えます。
「それはそうなんだけど‥‥」というニュアンスですね。
(4)さあ、どうなんでしょう…
疑問形に対して疑問形で答え、しかも微妙な否定的ニュアンスをにじませるという‥‥日本語の中でもハイレベルな微妙表現です。
この表現に該当する中国語は、ちょっと見つかりませんでした。
微妙なニュアンス抜きでもう少し単純に言うならば、
我也不知道。
wǒ yě bù zhīdào
わからないですね。
となるのですが、これは直訳に近くて、「さあ、どうなんでしょう…」という日本人の微妙な気持ちは表せていません。今後の課題です。
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