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先に理解しておくべき中国語の五つの特徴
中国語には先によく理解しておいた方が、その後の学習がスムーズに
なる大きな5つの特徴があります。
特に4項の「ピンイン」と5項の「声調」は最重要で、その2つの出
来如何によっては、上達の度合いが大きく変わります。
また、あなたの中国語が通じるのか、通じないのか・・が決まります。
新たに中国語を取り組もうとされている人は、是非とも、この特徴を
理解して進めていっていただけたらと思います。
1:漢語
現在、日本では中国大陸や台湾、香港、シンガポール、あるいは世界
中の華人社会で使われている言葉をひとまとめにして「中国語」と呼
んでいますが、実は中国語というのは日本でしか通用しない言い方な
んです。
多民族国家である中国には56の民族がいて、それぞれ固有の言語を
もっていますが、その中で90パーセントと圧倒的多数を占める漢民
族の言語のことを中国人は「漢語(ハンユイ)」と言っています。
この漢語がここで勉強している中国語のことなのです。
漢語のほかに「中文(チョンウェン)」と言われたりもします。
2:普通話
広大な中国では、一口に「漢語」と言っても地域によって発音やアク
セントに大きな違いがあります。
北部の北京語、上海周辺の上海語、南部の広東語など大きく7つの方
言区分がされています。
そしてこれらは、英語とドイツ語、あるいはフランス語の関係に近い
くらい大きな違いがあります。
上海や広東省の人が地元の言葉で話したら、北京の人は全く理解でき
ないということが起こるのです。
1949年の新中国(中華人民共和国)建国後、地域間のコミュニケーシ
ョンを円滑にするため、共通語の必要性を強く感じた中国政府は、首
都北京を中心に話される北京語をベースに、共通語をつくりました。
それが「普通語(プートンホワ)」なんです。
現在は少数民族地域も含めた、中国全土の学校で普通話教育が行われ、
テレビやラジオでも普通話による放送が行われているので、中国のほ
とんどの地域で普通話が通用します。
また、台湾や香港、シンガポール、世界の華人社会でも北京語が教え
られていますので、普通話はこれらの国、地域でも基本的に通用しま
す。
★Tips:
わたしは中国に3年半いて、この普通語を勉強したのですが、最近、
仕事の関係で中華系シンガポール人、および台湾人と話をする機会が
あったのですが、とてもよく通じてびっくりしました。
普通話はまさに中華世界全体の共通語なんですね。
人口でいくと、実は英語圏の人よりも多いようなんです。
つまり中国語がNO1なんだと。
3:簡体字と繁体字
新中国成立後、中国政府は文盲率を減らすために、多くの漢字の画数
を減らして簡略化しました。この簡略化された文字を「簡体字」と言
います。
一方、中国政府の影響下になかった香港や台湾、シンガポール、海外
の華人社会では、簡略化前の元の漢字、すなわち「繁体字」が現在で
も使われています。
簡体字は元の繁体字との差が比較的少ないものもあれば、簡略化され
すぎて別の文字のようになってしまったものもあります。
これに日本で独自に簡略化されてきた常用漢字も合わせると、同じ漢
字でも三者で全く異なる形になってしまっているものもあります。
★Tips:
日本では今や文盲の方はほとんどいないと思うのですが、中国ではま
だまだたくさんいると聞いています。
かってな推測ですが、理由は2つかなと想像しています。
一つは、あまりにも広大な国土なので、教育が行き届かない地域があ
るのではないかということ。
それからもう一つは、かつて一人っ子政策をやってきた結果、二人目
や三人目の子供ができた人は、一切登録をしなかったようなんです。
つまり帳簿上はいない人になるわけです。当然その人には、義務教育
の案内などはありません。家庭内の教育だけで、話したり聞いたり書
いたりできるようになれるかどうか・・。
できなかった人も多かったのではないかと。
4:ピンイン
中国語における漢字の発音をローマ字で表した発音記号が「拼音字母」、
すなわちピンインなのです。
本来は外国人の中国語学習ようにつくられたものらしいですが、現在
は中国人の子供も学校でこのピンインを学んでいます。
ピンインは単なる発音記号にとどまらず、日本語のひらがな、カタカ
ナと同じように中国語辞書を引く際や中国語ワープロの入力・変換に
も使われるので、ピンインの習得は必須となります。
また中国の人名や地名などの固有名詞は、ピンインによる表記がその
まま英語表記となります。
ただし、中国語にはほかの言語にはない独特の発音がありますので、
ピンインを英語やローマ字の読み方で発音しても、正しい発音とはな
らないものが多数あります。
★Tips:
中国の携帯には、ピンインで入力し中国語に変換するやり方と、一画
「-」、二画「|」・・と、画数で入れていくやり方のどちらかを選
ぶことができます。
日本人は英語ができるので、ほとんどの方はピンインでやる方が簡単
だと思いますが、中国人の同僚のほとんどは、ピンインではなく一画
、二画・・のやり方で入力していました。
英語を話せる人は本当にまれで、正しく発音はできるが、ピンインは
書けないという人が多かったです。
5:声調
中国語最大の特徴であり、学習者泣かせとなるのがこの「声調」です。
中国語には一つの短い音節ごとに四つのアクセント(4声)があり、
この短い音節の積み重ねで言語が形成されます。
抑揚のないフラットなイメージのある日本語と比べて、中国語は起伏
に富み、リズミカルに聞こえるという理由はこの声調の存在によるも
のなのです。
声調はピンインにアクセント記号として付加されます。
音節は名詞、動詞、形容詞などバラバラですから、声調を正しく発音
しないと、せっかく話した中国語もまったく意味をなさないか、全く
違った意味にとられてしまいます。
日本語にも、同じ「はし」という発音で、「橋」と「箸」とではアク
セントも意味も違うという例がありますが、中国語の場合はこれを常
に意識しなければならないのです。
例えば「ma(マー)」という発音をもつ単語には、主なものだけでも
以下のようなものがあります。
妈(お母さん)、麻 (麻)、马(馬)、骂 (叱る)
日本人にはただ「マー、マー、マー」と言っているとしか聞こえない
かもしれませんが、声調を変えることで、
「お母さんが馬をしかっている」
が
「馬がお母さんをしかっている」
と、全く正反対の意味になってしまうのです。
そのほかにも
「买 (mǎi 買う)」と「卖(mài うる)」
「汤 (tāng スープ)」と「糖 (táng 砂糖)」、
「上海 (shànghǎi 上海)」と「伤害 (shānghài 傷つける)」、
「水饺 (shuǐjiǎo 水ギョーザ)」と「睡觉 (shuìjiào 眠る)」
のように、
同じ発音でも声調の違いで、意味が正反対になったり、別の単語にな
ることもあります。声調にはくれぐれも注意しましょう。
★Tips:
日本人の中国語が通じないのは、ほとんどがこの声調が不正確なこと
が原因です。
わたしも中国語の学習を開始した頃は、まったく通じませんでした。
おもしろいほどよく通じないのです。いくら話しかけても相手は首を
傾けるばかり。
漢字を書かないで口で言っている限り、まったく別の言語を聞いてい
ると思わさせられるくらい、通じないのです。
ところが裏を返すと、この声調をできるだけ正しく発音しながら話す
ようになると、驚くほど通じるようになってくるのです。
この「声調を正しく話す」ということが中国語では、最重要事項でし
た。
中国語を早く上達するためには、「ピンインを覚え、声調を正しく」
というのが2つの大きなポイントでした。
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