トップ初心者は日本語とのイコールだけを考える

初心者は日本語とのイコールだけを考える

中国語を話せるようになろうと学習を始めるとき、普通はまず文法を覚えてから
単語や文を練習するという進め方をすることが多いと思います。

それはそれで一つのやり方なのですが、あまりにも文法だけを、逐一覚えてから
次を進めるというやり方は、決して効率の良いやり方ではないと思っています。

改めて文法を・・と意識してやらなくても、ある基本文が出てきて覚えようとする
とき、必ず文法を確認しておこうとの状況になってきますので。

その必要が出たときにそのことを調べて覚えるという進め方の方が自然で、より
スムーズに覚えられて記憶にも残り易いと考えています。

また、ある言語上のルールを覚えるときに、わかりにくく難解な文法の説明から
理解し覚えていくよりは、その語の働きは日本語の何に当たるのかを確認すること
から入るのが、より早く理解が進むと思っています。

中国語学習

「了」という文字

例えば、中国文の文末に「了」という文字が使われているのをよく目にします。
この「了」という語は、どのような役目なのでしょうか。

文法上の説明から入ると、

(1)語気助詞“了”は文の終わりに用いられて、次のような意味を表します。
   目新しい状況の発生、あるいはすでに存在していたある状況について、
   話し手が初めて気づいたような場合に、‥‥。

というような説明が書かれているので、それを読んで内容を理解していく流れと
なります。

もっと機能の分析・分類を整理していけば、「了」の文法上の意味はさらに
(2)(3)‥‥と続いていきます。ですが、ここでまな板の上に載せるのは
(1)だけで十分でしょう。

十分というのは、(1)だけでも十分にわかりにくい説明なので、それ以上
わかりにくい文を並べて眺めても、無駄にする時間が増えていくので、もっと
別のやり方を考えた方が良いということです。

 

もっとわかり易い進め方・・

私はいつもわからないときは、まず先にいくつかの例文をよく見るようにして
います。中国文と日本語訳をじっくり見比べて。

そうしているとそれぞれの訳での共通点が見えてきて、「了」の働きを感覚的
に掴むことができます。

何時

几点了?
 jǐ diǎn le?
 何時になったの?

三点半了
 sān diǎn bàn le.
 3時半になったよ。

雨大了
 yǔ dà le.
 雨が強くなった。

雨小了
 yǔ xiǎo le.
 雨が小降りになった。

そして注釈が載っていたりすると、それもしっかり読みます。

③:雨はそれまでは激しくなかった。
④:雨はそれまで激しかったが、今やんだばかりである。

・・などと書かれているのを見て、

「新しい状況になった」「状況が変わったことに話し手が気づいた」というような
ことを感じて、何かが変化してそれが終了したときに「了」を付けるのかな・・と。

そして、この「了」をどのような形で頭のなかにインプットするのかというと、
●「了」は日本語の終了や完了を表わす「た」や「だ」と同じ機能なんだ●
と覚えるわけです。

中国語での「了」の用法のほとんどは、「動詞+(~)了」という形です。
なので、「動訓+(~)了」は日本語の何とイコールなのかをよく考えてみるのです。

学校

我去学校了
 wǒ qù xuéxiào le.
 私は学校に行った。

他死了
 tā sǐ le.
 彼が死んだ。

これら⑤⑥と、先の①-④を眺めれば、中国語の「了」が、日本語でも文の末尾につく
助動詞の「た」「だ」と同じであることがわかります。(助動詞ではなく接尾語という説もあり)

中国語の「動詞十(~)了」は、日本語の「た」と「だ」と同じ働きをする語である。

‥ということで、その働きについて「ストーン!」と腑に落ちる感覚で理解することが
できるのです。

新しく覚えようとする語が、すでに理解している日本語や英語の何にあたるのか・・。
その部分を見つけることが、中国語の理解と記憶には一番良いのです。

初級レベルで必要な理解度

初級クラスのものにとっては、「了」の説明と理解はまずはこの程度で十分だと思っています。
ストーンとその語の働きを理解できたのなら、例文を頭におきながら日常会話ですぐに使うこと
ができるようになりますので。

他にいくつかの例外的な使い方もありますが、それは文章の中に出てきたときや実際の会話で
直面したときに、その都度覚えていけば良いのです。

私はいつも新しい語や文に直面したときに、その語に集中して覚えていくようにしていましたが、
あとから考えてそのやり方が私に合ったやり方であり、すんなりと会話力を伸ばせたことにつなが
ったと思っています。

少なくとも(1) (2) (3)……というような形ですべてを洗い出して、それを文法上の意味として
覚えるような必要は、まったくありません。

それよりも、日本語の「終了」(終わった)や「了解」(わかった)という言葉にある「了」が、
中国語の「了」の意味だと認識し(このように認識できるのが、漢字文化を共有する言語感覚
のメリットですね)、その言語感覚の上で「動詞十(~)了」=「た」「だ」と覚えることの
方が、はるかに実用的なのは言うまでもないでしょう。

「形容詞+了」という文型

せっかくなので、「形容詞+了」というとても便利な文型についても、一緒に覚えておき
ましょう。

中国語の特徴の一つは、形容詞も動詞と同じように扱えるということです。
このことを典型的に示すのが、「形容詞+了」という文型です。

我忙。我忙了
 wǒ máng. wǒ máng le.
 私は忙しい。私は忙しくなった};''。

天气好。天气好了
 tiānqì hǎo. tiānqì hǎo le.
 天気がいい。天気がよくなった。

她漂亮。她漂亮了
 tā piàoliang. tā piàoliang le.
 彼女はきれいだ。彼女はきれいになった。

以上より、「形容詞+了」=「~になった」となります。

もちろん例外はあります。
でも、初級クラスのときは、この程度を知っていれば十分だったと思っています。
 

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