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日本人が中国語の習得が早い3つの理由
前置詞タイプと後置詞タイプ
日本人が中国語の習得が早い理由の一つとして、中国語は日本語と同じ「前置詞タイプ」であるということがあげられます。
これだけだとわかりにくいので、具体的な例で説明します。
言語のタイプを見分ける一つのやり方として、
「前置詞タイプ」か「後置詞タイプ」かを確認するというのがあります。
たとえば、
「私は一生懸命に働く」と言うとき、
「働く」という動作を説明する「一生懸命」の表現は、
「働く」の前に置かれています。
これは日本語が前置詞タイプ、つまり動詞を修飾する表現が動詞の前に置かれる言語であるということを示しています。
それでは、中国語はどうなのかというと、
我拼命工作
wǒ pīnmìng gōngzuò
と言います。
「働く(工作)」の前に「一生懸命(拼命)」が置かれているので、同じ前置詞タイプに属する言語であることがわかります。
これに対して、英語では
I work hard.
となり、「work」を説明する「hard」が「work」のあとにくるので、後置詞タイプであることがわかります。
このように、英語が後置詞タイプであるのに対して、中国語は前置詞タイプに分類され、この部分においても日本語と同じなのです。
具体的な例
もう少し例を挙げると、
(日本語)私は毛筆で/手紙を/書く。
(中国語)我用毛笔/写/信。
wǒ yòng máobǐ xiě xìn
(英 語)I write a letter with a brush.
(日本語)私は毎日一生懸命/中国語を/勉強する。
(中国語)我每天努力/学习/中文。
wǒ měitiān nǔlì xuéxí zhōngwén
(英 語)I study Chinese very hard everyday.
このように中国語は、言語構造の基本を英語に求めたのでが、それでも日本語にとても近い言葉であるということなのです。
どちらも前置詞タイプだということは、日本語を中国語訳するときに、大きな恩恵が受けられます。日本人の場合、
・動詞(上の例では「写」や「学习」)があらわれるまで、
・日本語の語順のまま言葉をつなげていけばいい
ということなのです。
人称と動詞の変化
しかも、中国語には I, my, me のような人称の変化もありまぜん。
「変化」がないということでつけ加えるなら、動詞の活用変化もないのです。
たとえば、「私は警察に逮捕された」と言う場合、英語では、
I was arrested by the police.
というように、be動詞が過去形になり、arrest が受け身をあらわす過去完了形に変化します。
では、中国語はどうかというと、
我被警察逮捕了。
wǒ bèi jǐngchá dàibǔ le
となるだけ。
「被」が受け身をあらわす日本語の「され」に相応し、
「了」が過去(または現在完了)をあらわす「た」に対応している
わけです。
ですから、
→「~され」(受け身)ときたなら「被」、
→「~(し)た」(過去または現在完了)ときたなら「了」
を挿入すれば良いのです。
とても簡単ですよね!
むずかしく捉える日本の中国語学習
ところが、日本の文法中心の中国語学習では、
「被」を「直接動詞につき受け身をあらわす前置詞」
「了」を「文の終わりに用いられる口調助詞」
と言い、さらには
「新しい状況の発生や、あるいはまた、すでに存在していたある状況について、話し手や書き手がはじめて気づいた場合に使用する」
などと説明して、やさしいはずの中国語をことさらわかりにくくしているのが実状です。
わたしはそんなむずかしい説明は見ないようにして、とにかく複数の例文を見て、その構文のしくみをつかみ取ったものです。
以上述べてきたように、現代中国語は非常にシンプルで、学びやすい言語なのです。
しかも、日本人とは漢字という文化を共有し、前置詞タイプという言語類型も同じなのですから、日本人にとってこれほど取り組み易い外国語はないと思います。
中国語を学習して・・
長年勉強を続けてきた英語が、いまだに文を作りながら話している感覚が残っているのに対し、わずか数年滞在して学習した中国語は、深く考えずに言いたいことが口から飛び出てくる感覚があります。
それはひとえに、
「同じ語順で単語を並べていき、動詞の部分だけ逆にすればよい」
という話し方、そして、
「話しながら人称や時制の変化を気にしなくても良い」
という部分が、
英語を習った日本人にとって、とてもシンプルで話しやすい言語であるということによるのです。
あるところまで単語や言い回しを覚えたなら、きっとそこからはグングンと話せるようになっていきますよ!
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